伊藤けんたろうホームページ

伊藤けんたろう事務所025-282-7500

けんたろう日記
Blog

新型コロナウイルス感染症対策に関する決議

2020年03月25日

3月23日に新潟市議会2月定例会が閉会しました。
新型コロナウイルス感染症対策が行われる中、市民の皆さんにとって大変重要である令和2年度当初予算案など多くの議案について議論され、議決しました。

新型コロナウイルス感染症対策については、当初予算編成段階で盛り込まれていないため、私が委員長を務める市民厚生常任委員会では、別途議論の場を設けて長時間にわたり、事態の収束のために必要なことを話し合いました。

話し合いの結果は、他の常任委員会所管の事項とともに「決議」としてまとめ、新潟市議会の意思として全会一致で議決しました。
早速着手されている事項などもあり、有意義な議論であったと自負しています。
報道などではあまり触れられていないため、全文を掲載します。
市議会もしっかり汗をかいていることをご認識いただければと存じます。
内容には、現場で、また、このようなSNSでお寄せいただいたご意見も含んでいます。長文になりますが、是非ともご一読ください。

また、国に対応を求める意見書も全会一致で議決されましたので、後段に掲載します。併せてご覧ください。

【新型コロナウイルス感染症対策に関する決議】

新型コロナウイルスによる感染症の拡大が世界的に加速している中、本市においても本年2月29日に1例目の感染者が確認されて以降、日々感染者が増えており、多くの市民が不安な毎日を過ごしている。
本市における感染者数は、全国の市区町村の中で非常に多いが、これは、感染者の濃厚接触者をきめ細かく特定し、注意喚起を行った上で、国の指針等に基づいて適切に検査を受けることを促している結果であり、この間現場対応に当たった関係職員並びに医療関係者には深く敬意を表すものである。市民においても、突然の休校措置やイベントの中止など、生活に直接影響する事態に柔軟に対応していただき、結果として現段階で感染は最低限に抑えられているものと捉えている。
くしくもこの期間は、インフルエンザや季節性の風邪等の流行時期と重なっており、新型コロナウイルス感染症に似た症状を発症する市民が多い時期である。本市では、発熱や倦怠感などが2日間から4日間程度継続した場合に、あらかじめ帰国者・接触者相談センターなどへの相談を経て、しかるべき医療機関を受診するとしているが、高齢者や持病のある人などは自宅で待機することは難しく、近隣の診療所などを予告なく受診することが容易に予想される。また、受診する診療所などにおいても、新型コロナウイルス感染症に対する対応を熟知しているわけでなく、通常の患者と同様に対応することが懸念される。
また、現在、濃厚接触者に目立った症状がない場合、経過観察期間を過ぎればPCR検査を行わないこととしているが、今般、保育所職員の感染が確認されたように、軽度な症状でも感染している可能性はあり、濃厚接触者については、原則として経過観察期間が終わる前にすべからく検査を受けていただくことが妥当だと考える。特に、高齢者向けの福祉施設の利用者や職員が感染した場合には、感染の拡大とともに、罹患者の重症化が懸念される。
なお、濃厚接触者の動向については、注意喚起の電話の回数を増やすなど、徹底した外出などの自粛要請が必要であり、濃厚接触者が一人暮らしの高齢者であるなど、場合によっては、自粛期間中に生活のサポートが必要であることも考えられる。
本市は1例目の感染者の確認直後から新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、組織横断的な感染拡大防止に取り組んでいる。感染症の対応に当たっては、自然災害などと異なり、市民のプライバシーの保護など、公開すべきでない事項が多くあることから、本部の指示系統を一本化することは困難であると考えるが、保健衛生部及び危機管理防災局が相互に明確な役割分担をした上で情報の集中化と部局間連携について取り仕切るべきである。
新型コロナウイルス感染症については、高齢患者の重篤化が懸念されている。本市においても、既に市内介護施設の利用者と職員の感染が確認された。全庁を挙げて集団感染を防ぐために万策を尽くすとともに、施設閉鎖による悪影響を最小限に抑えるための備えが必要である。
このたびの感染防止対策は子供たちの生活に与える影響が少なくない。まず、休校措置により、負担を被っている放課後児童クラブの運営について、こども未来部が示す一定面積の確保は、現実的に極めて困難である。子供たちを感染のリスクから守るためには、学校との連携が不可欠であり、単に連携を呼びかける文書の送付だけでなく、学校長と放課後児童クラブ運営事業者が具体的にどのような連携を行っていくかのモデルを示す必要があると考える。
放課後児童クラブと学校とは、単に感染防止のための、面積確保のための連携だけにとどまらず、学校医や養護教諭による健康の保持、児童生徒並びに保護者に対する情報発信や働きかけなど多種多様な連携が必要である。
なお、現在は、市民の協力により、放課後児童クラブを利用せず、自宅で過ごす子供が多い。自宅待機の期間が長期化し、子供、保護者ともにストレスのたまる中、保護者からは「地域住民から子供の外遊びをとがめられた」などといった声が聞こえてきている。保健衛生部によれば、集団で行うスポーツなどを除けば、風通しのよい屋外での遊びが感染拡大につながるおそれは極めて少ないとのことであり、子供の健全育成の観点からも、市民に対する正しい認識の周知が必要である。
そして、貧困家庭の子供を含めた要保護児童の在宅での生活は、とても心配である。児童相談所を中心として、関係者による子供を守る取組に全力を傾けていただきたい。
あわせて、民設民営の放課後児童クラブにあっては、収入源が、本市からの委託料と利用者からの利用料である。この間、市としてできる限りの自宅待機を要請していることから、放課後児童クラブに対しては、利用料減額分の補塡を行うことが必然だと考える。
さらに、子供たちの精神的安定に大きな不安がある。元来、不登校や子供の自殺などは長期休暇直後や学年が変わる時期に頻発する傾向にあり、加えて学校現場や放課後児童クラブが感染症対策で慌ただしい対応を迫られている状況に鑑みれば、子供にとっては二重、三重のリスクを背負うことになりかねない。そして、学校再開に向けた環境整備が急がれる。手洗いや消毒、換気など、児童生徒、学校職員が感染しない体制の整備が急務である。関係者が連携よく、毅然とした対応をすることによって、子供たちの心の安定を図っていただきたい。
加えて、このたびの感染拡大により、本市の地域経済を支える中小企業、小規模事業所、個人事業主等から悲鳴に近い声が聞こえている。特にイベントの中止や休校、中国などからの部品供給の滞りなどの影響をじかに受けている飲食業、観光業、製造業、農業などは、事態の終息までなりわいの持続ができない状況である。政府もこの間、緊急融資制度の創設、拡充や休業補償などの救済策を発信し、経済への悪影響を最小限に抑える取組を行っているものの、制度のはざまで苦しんでいる市民も多く、よりきめ細かな対応が求められる。
以上の観点から、今後予想されるさらなる感染拡大に対し、以下のとおり対応を求める。

1 医療体制、検査体制及び市民への周知について
(1)市民や医療機関に対する適切な対応方法の周知を徹底すること。
(2)濃厚接触者について、国の指針よりも一歩踏み込んだ検査体制の充実を検討すること。
(3)濃厚接触者の動向の見守りを強化するとともに、必要な生活支援について検討すること。

2 本市の新型コロナウイルス感染症対策本部の体制について
(1)本部長である市長の強いリーダーシップのもと、本部体制を一層強化すること。

3 介護施設における感染防止対策について
(1)利用者の感染防止への貢献が期待されるケアマネジャー、地域包括支援センターとの連携を一層強化すること。
(2)介護施設に対する情報の発信と状況把握のための情報収集に全力を挙げて取り組むこと。
(3)マスクや消毒液など、感染予防に必要な資材に滞りがないか確認し、必要に応じて積極的に関与すること。
(4)集団感染を想定し、代替の受入施設について検討すること。
(5)施設の閉鎖に伴い想定される在宅介護サービスの量的確保を検討すること。

4 子供の安心と安全を守る取組について
(1)具体的な連携モデルを示すなどして、こども未来部並びに教育委員会及び各学校との連携を一層強化すること。
(2)自宅で過ごす子供の健全育成の観点から市民に対する正しい認識の周知を行うこと。
(3)貧困家庭の子供を含めた要保護児童を守る取組に全力を傾けること。
(4)民設民営の放課後児童クラブの利用料減額分を補塡すること。
(5)子供の心のケアを行うこと。
(6)学校再開に向け、子供たちが安心して過ごせる環境整備を早急に行うこと。

5 地域経済と家計を守る取組について
(1)経済的な影響を大きく受ける中小・小規模事業者、個人事業主等に対するつなぎ資金の融資等、柔軟な支援を一層徹底するとともに、これらの支援策について事業者に周知すること。
(2)イベントの自粛や休校、部品供給の滞りなどにより打撃を受けている飲食業、観光業、製造業、農業等を営む市民を対象とした相談窓口を設置して広く要望を聞き取り、国とともに必要な支援策を講じること。
(3)あらゆる困難ケースに対応した柔軟な救済が実施できるよう、実態に即した支援制度を国に求めること。

6 財政運営について
(1)上記の施策を行うに当たり必要な財源を確保するため、財政調整基金の活用など、柔軟かつ迅速な財政運営を行うこと。

以上、一刻も早い事態の終息を願い、決議する。

令和2年3月23日

新潟市議会
【新型コロナウイルス感染症の感染防止対策に関する意見書】

中華人民共和国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる感染症の拡大が世界的に加速しています。本市においても本年2月29日に1例目の感染者が確認されて以降、日々感染者が増えており、多くの市民が不安な毎日を過ごしている状況です。
加えて、感染拡大の中、国内外の観光客の減少、文化・スポーツイベント等の中止により、観光業、イベント業、飲食業をはじめ地域経済に多大な悪影響が生じており、将来への不安感が広がっています。
本市は現在、新潟市新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、感染者の濃厚接触者を特定して感染拡大を防ぐとともに、政府の要請に応じた休校措置、市民への情報提供や注意喚起、独自の帰国者・接触者相談センターにおける相談対応など万策を講じているところです。
今後、感染の拡大を早期に終息させるためには、国と地方公共団体とが一丸となって、引き続き実効性のある対策を迅速かつ集中して講じることが重要です。
よって、本市議会は、国に対し、下記の事項について真摯に取り組むことを求めます。

1 新型コロナウイルスに関する正しい情報を迅速かつ積極的に発信すること。また、市民からの様々な相談に対応するため、国による電話相談の充実を図ること。併せて地方自治体に対しても、相談窓口の運営に必要かつ十分な支援を行うこと。

1 PCR検査体制を強化すること。併せて、感染の拡大防止に資するワクチン、治療薬の開発を早急に進めること。

1 重症化が懸念される高齢患者の急増等に備え、入院体制整備のための支援、医療用マスク、防護服、消毒薬の確保など、医療体制の整備を行うこと。

1 せきエチケット、手洗い等の予防方法の普及を図るとともに、マスクや消毒薬等、国民の感染予防に資する衛生資材の安定的な供給体制を早急に確保すること。

1 児童生徒への感染防止に万全の対策を講じるとともに、休校等により休業を余儀なくされる保護者への経済的支援など、万全の対応を行うこと。

1 経済的な影響を大きく受ける中小・小規模事業者、個人事業主等に対する支援を一層徹底するとともに、これらの支援策について国民に周知すること。

1 国際連携を強化するとともに、専門家会議による科学的知見などに基づき、事態の変化に即応した緊急措置等を講じること。

1 その他、地方公共団体が行う感染症対策に財政支援を行うこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

令和2年3月23日
新潟市議会議長
佐藤豊美

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
経済産業大臣
内閣官房長官



Copyright © 2020 ITO KENTARO All Rights Reserved.